2021年2月11日(木)〜2月23日(火)*水曜日休廊

〔展覧会概要〕
 金村修は、東京の街をソリッドに撮影する写真家として国内外で人気を博しています。しかし、現在のコロナ禍において撮影された金村の写真には、これまでモチーフとして扱われてきた都市の雑踏が影を潜め、これまでに見られなかった都市の余白が浮かび上がります。

 今回の展示は、今年撮影された〈廃墟〉化した空港の写真とともに、過去に金村が収めた郊外写真から会場を構成することで、都市の変容を見据えたポスト・パンデミックの芸術を思索します。

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 この度、金村修、小松浩子、篠田優による連続個展「error CS0246」を開催します。
いまだ終息の目処が立たない新型コロナウイルスは、私たちの日常生活に大きな変化をもたらしました。感染予防対策として、物理的な接触を避けるために築かれる〈壁〉の存在は、ボーダーレスを標榜して速度を求めてきたグローバリズムをそれ以前へと巻き戻そうとするものです。街の至るところで、密閉空間を避けること、集団にならないことなどの制限が求められ、感染予防対策の強化が続いています。一方、各所で導入されたテレワークは、自宅の部屋をオフィスにすることで、これまでのプライベート/パブリックという区分を曖昧にもしました。経済活動を維持するために推奨される野外での行動は、どこか矛盾をはらんだ空間を生んでもいます。

 パンデミックの終息後も恐らくなくならないであろう、予防対策としての制限によって、社会には曖昧な状況が生まれ、人々の行動には矛盾が生まれ続けることでしょう。そうだとすれば、今後はそれらを内包した、ポスト・パンデミックの芸術を思索する必要があります。美術の展覧会においては、二律背反として扱われてきた「展示」と「保存・保護」という矛盾した関係性にも、「制限」と「曖昧さ」という観点をもって新たな光を当てることができるかもしれません。またパンデミック以後の制作は、必然的に異なるコードが組み込まれることによって、作家のスタイルそのものを変容させることにもなるでしょう。

 本企画は、アフターコロナにおける美術の展覧会の在り方、創作の可能性とは何かを、これまで取り扱われていなかった部分の捉え直しから検討するという試みです。

― 岡田翔(キュレーター)


〔プロフィール〕
金村修 / KANEMURA Osamu
写真家。1964年東京都生まれ。
1993年東京綜合写真専門学校研究科卒業。

1992年東京綜合写真専門学校在校中にオランダ・ロッテルダム写真ビエンナーレに招聘されたことを皮切りに、1996年ニューヨーク近代美術館による「世界の注目される6人の写真家」の1人に選出される。
1997年日本写真家協会新人賞受賞の後は、第13回東川町国際写真フェスティバル新人作家賞、第19回土門拳賞、第39回伊奈信男賞を受賞するなど国内外を問わず活動。

主な著作に『Spider’s Strategy』(Osiris、2001年)、『I can tell』(芳賀書店、2001年)、『Concrete Octopus』(Osiris、2017年)、『漸進快楽写真家』(同友館、2009年)、『挑発する写真史』(平凡社、2017年、タカザワケンジとの共著)がある。

〔パブリック・コレクション〕
横浜美術館、ニューヨーク近代美術館、東京都写真美術館、東川町文化ギャラリー、
東京国立近代美術館、土門拳記念館、ベネッセコーポレーション、ヒューストン美術館、福岡市美術館、サンフランシスコ近代美術館、シカゴ美術館、アマナコレクション、ニューヨーク公共図書館

〔website〕
http://kanemura-osamu.com/